Runner in the High

技術のことをかくこころみ

"初夏のJavaScript祭り2019" にElmのはなしで登壇した

 6/1に開催されたJavaScript祭りというイベントに「jQueryからElmまで」というタイトルで15分枠の登壇をした

 内容はjQueryからJavaScriptを触り始めた自分が、Elmを書くまでにどういう困難を経験してどういう学びを得たのか、にフォーカスを当てたもの。

 フロントエンド界隈はトレンドの変化が早いと言われがちだが、闇雲に新しいフレームワークが乱立しているというわけではなく、どのフレームワークもアプリケーションを作る上での問題を解決するために生まれているのは間違いない。これはjQueryprototype.jsのころから変わっていないし、そもそもテクノロジー自体が問題解決をするためのものであることからも自明だと思う。そう考えると、いまElmを書いている自分は割と遠いところまで歩いてきたなぁ、と感じさえする。

Prop Drilling について

 懇親会の際に、スライドの中で触れていた Prop Drillingアンチパターンなのか? という話になったが、これは正直スライドの表現が悪かったと思っている。

 自分としては、Prop Drilling はその後に触れられるイベント・エミッタを乱用するパターンを説明するきっかけとして使いたいだけで、アンチパターンだとは思っていない。まずモジュール結合度の観点からみても、コンポーネントに渡されるパラメータが増えても結合度は低い状態であるし、コンポーネントに対する入力が増える以外の欠点がないからだ。

余談

 もともと、この発表のインスピレーションは過去のこの記事にある izumisy-tech.hatenablog.com

 ReactのSFCやChoo.jsなどを知ってときに「ビューって関数やん!」と気付いたのを覚えている。

 その後、偶然にもElmを使っている会社へ新卒入社し、前提としてフロントエンド・アプリケーションは関数の組み合せで作れるということが自分の中での当たり前になっていった。一方で、その考えに至るまでに自分が書いていたフロントエンドは全く異なるものだったことを思い出した。一度なにかを知ってしまうと、それを知らなかった頃の自分には戻れない。それでも、どのように自分の考え方が変わっていったかはまだ思い出せる。こんなことを考えながら、今回はスライドを作った。

 登壇にあたっては、最終的にはJavaScriptにトランスパイルされるとはいえ、ElmはほとんどJavaScriptとは別の言語なので参加者層的に楽しんでもらえるかなという不安もあった。事前に主催の方から頂いたアンケートをみてもやはりVue.jsを書いている、という方が多かったし、発表内容にもVue.jsとVuexにフォーカスを当てたものが多かった。

 かくいう自分も、仮に開発対象のアプリケーションがのちのち自分の手を離れることになる場合、あるいは組織自体がElmをキャッチアップできる状態でない場合には、Elmを選択することはいまのところないだろうなと思っている。Vue.jsやVuexであれば、コミュニティの大きさから後任の開発者が確保できる可能性が充分にあるからだ。

 Elmの堅牢な型システムやある意味 "ズル" できないアーキテクチャは、必ず大規模なアプリケーションに必要なものであることには間違いないが、そもそも書ける人間がいない状態になってしまっては元も子もない。とはいえ、JavaScriptを触っている人間であれば、文法がパッと見で目新しいものあるだけで、Elmにはすぐに馴染めると信じている。そのような意味で、自分の発表を聞いてElmの存在だけでも知ってくれる人が増えてくれたとしたら非常にありがたい。